うひょ〜!!プロレステーマ曲掲示板バックナンバー特別編
「究極のコレクター村田さんのお話」
悶絶プロレス秘宝館2・テーマ曲特集にて、膨大なコレクションを
資料提供していることでおなじみの究極コレクター村田さん。
単なる収集を超えた、情熱の調査記録をここにまとめて一挙公開!

全日版・「移民の歌」収録原盤レコードについての訂正点
2001/08/14

 1998年1月にシンコー・ミュージック・ムックから発売の「悶絶!プロレス秘宝館・2」においてマスコミ媒体の中では初めて、全日版・「移民の歌」の真実が発表されました。この本の製作段階で、私が所有するレコードや国会図書館内の資料をもとに判明し得る全ての収録原盤レコードを発表した訳ですが、このほど収録原盤レコードに誤りがあることが、某コレクターからの入手情報により判明しましたので、全国のテーマ曲ファンの皆さんにご報告します。
 収録レコード一覧内の「トップ・オブ・ザ・ポップス・ベスト28」というタイトルのものは収録レコードではありません。確かに「移民の歌」という曲は収録されていますが、この曲はユニオン・シンギング・オーケストラ演奏のポップス調の曲とのことです。私がこの資料を調べ上げた93年当時は、国会図書館内に収蔵されているレコードは一覧表の1、2、7、8のみであり、あとはレコード室内のテイチク年代別カタログを参考に「移民の歌」というタイトル曲が収録されているレコードをピックアップしたため、全てのレコードを試聴した訳では有りませんでした。
 今回、某コレクターからの「トップ・オブ〜」有力入手情報によりこうした発表に至りました。この方に感謝するとともに発表自体が遅れてしまったことをお詫びいたします。以後の調査や発見の参考になればと思い、ご報告しました。ちなみに国会図書館のテイチク年代別カタログは白黒印刷でLPジャケット写真が掲載されており、収録原盤レコード全てのジャケットが確認出来ます。


スタン・ハンセンのテーマ曲「サンライズ」は3バージョン!!
2000/09/09

 Q&Aのコーナーで質問のあったハンセンのテーマ曲「サンライズ」のバージョン違いについて、私の知る限りでの情報を提供したいと思います。
誰でも分かるように市販ビデオに収録されたものを参考に、説明したいと思います。

1)まず、ハンセンの全日本プロレス復帰第一戦収録のビデオ「不沈艦スタン・ハンセン登場」(バップ)には対阿修羅・原戦が収録されており、ハンセン入場時には「君に夢中」は全くの無効果音状態から始まり、スペクトラムの「モーション」「サンライズ」とお決まりの構成で曲が流れていきます。この無効果音バージョンはこのビデオでのみ聴くことの出来る珍バージョンです。まだ、桜井氏がテーマ曲作製の模索段階での状態であったと思われます。

2)さらにこのシリーズ最終戦でハンセンはジャイアント馬場とシングル対決するのですが、その時点では既に一般的な効果音入りのバージョンになっているのです。「ジャイアント馬場・ザ・ベスト・オブ・ザ・ベスト/第一巻」(バップ)参照下さい。その他にも上記馬場ビデオの第五巻や「ジャンボ鶴田・怪物十番勝負/第二巻」(バップ)を参照いただければ一般的な桜井氏バージョンを聴くことが出来ます。ちなみに、90年4月に開催された日米レスリングサミット・対ホーガン戦にはこのバージョンが使用されています。

3)そして、三沢光晴のビデオ「5冠王への軌跡・4巻・悲願!三冠王者」を始めとする最近のハンセン入場時のバージョンをお聞き下さい。馬のいななき、鞭の音が全然違います。しかも、こののバージョンは馬の駆ける音が挿入されていません。

 こうしてみてくると、最低3タイプあることが分かります。ハンセンの曲が製作されたのが82年であり、アナログ音源から楽曲と効果音をミックスしたダビング曲だったため、音質劣化は避けられなかったと思われます。次第に時代はCD等によるデジタル音源の確保が容易となり、三沢光晴が台頭してきた90年にはテーマ曲の選曲・製作のイニシアチブは日本テレビから全日本プロレスのほうに移ったことで、当時(現在)の団体テーマ曲担当者は知人のミュージシャンに依頼し、デジタル音源による新録音を行いました。それが現在使用されているバージョンです。
 現在日本テレビに桜井氏のバージョンのマスターテープが残っているかは不明です。ただ、現段階において日本テレビと全日本の関係からして音源の発掘等は不可能とも思えますが、全日本の方には担当者の手元に放送に耐え得る良音質のサンプルはきちんと保管されています。ハンセンの引退までにもう一度日の目を見ることを私は願っています。その他にも欠かさず放送を録画されていて、他のバージョンを発見した方がいらっしゃれば是非、ご報告ください。


”仕掛人”にインタビュー!!あの名曲の選曲秘話(オリンピア・移民の歌ほか)
2000/08/27

 先頃、日本テレビを代表するテーマ曲仕掛人の3人にインタビューすることが出来た。その3人とは全日本プロレス中継前プロデューサー・今泉富夫氏、同局・梅垣進氏、桜井純一氏の3人である。

 今泉氏は1984年後期からのテーマ曲担当で、「オリンピア」「カーウォーズ」を選曲している。「オリンピア」は元々日本テレビの音楽効果(音効)スタッフが持っていた6ミリテープから採用したものであり、今泉氏が同スタッフに相談したところ、「未発表のインストバージョンだから」と手渡されたとのこと。出所は「おそらく当時シングルEP発売元のキングレコードから」とのことであるが定かではない。「オリンピア」は実際、ロスオリンピック特集等では一切使用されず、プロレス中継のみの使用であった。元々の収録状態はフェイドアウトであったが、区切りを良くするために「ズウン!」という効果音を加えて終わらせている。但し、その他の箇所に関しては一切編集等はしていないとのことである。日本テレビには現在、元の6ミリテープは無く、一度ダビングをしたテープのみが保管されている。
 ちなみに「カーウォーズ」は「プロ野球好プレー珍プレー」のBGMとして使用されていた曲をそのまま使用したとのことである。

 次に「スカイハイ」を自らのセンスで選曲してプロレステーマ曲を定着させた功労者・梅垣進氏。氏は「セレモニアルウォーダンス」「吹けよ風呼べよ嵐」「ギャラクシーエキスプレス」「移民の歌」等の選曲者である。「私はそれほど音楽通ではないですョ」と謙遜する梅垣氏であったが、実際「スカイハイ」以後の選曲に関しては全国の視聴者からのアドバイスや要望をかなり採り入れたという。電話等でファンからの提案がある度にレコード室で試聴し、決定した。「移民の歌」がドラムレコードの曲であることも私から知らされるまで全く知らなかったという。たまたま収録のレコードを所有していた全国の誰かからの提案が現在まで語り継がれる名曲を誕生させたのである。

 最後は「スタンハンセン」「天龍」「大仁田」「鶴龍コンビ」「超獣コンビ」など改造・合体テーマ製作の草分け的存在の桜井純一氏。20年近く経った現在、氏の記憶はほとんど薄れているが、「スタンハンセン」のテーマ曲を音効スタッフと相談し合って作ったことや「片手落ちになるといけない」という配慮から合体テーマを作ったことは憶えておられた。効果音はレコード未発売の局所有のオリジナル効果音テープからのものであった。こうして作られたハンセンのテーマ曲は1990年に「音質が悪くなったから」という理由で新バージョンにバトンタッチされたものの、桜井氏のバージョンは伝説の名曲としてファンの支持を受けている。そして現在の全日本プロレステーマ曲製作担当者も「桜井さんのハンセンのテーマの方がカッコイイですョ。これからも桜井イズムを受け継ぎます。」と言っている。氏の試みがその後の”テーマ曲史”にいかに大きな影響を与えたかはこうした言葉が物語っている。

 今後もこうしたテーマ曲史上の数々のナマの情報を皆さんにお伝えしていきたいと思っている。


『歌舞伎囃子・その6 翔り』と『J』の秘密!
2000/06/28

去る6月21日に発売となった「プロレスQ777DX」に、上記2曲が収録されました。
プロレステーマ曲ファンにとってはめでたいことであり、特に『その6 翔り』においては幻の曲(かな? ^^;)が再びプロレスQシリーズに収録される運びとなりました。今回は、この2曲について自分の体験も踏まえて語ろうと思います。

まず『歌舞伎囃子・その6 翔り』について。
これはザ・グレートカブキのテーマ曲を作成するのに欠かせない要素であり、「ヤンキーステーション」「ドッグファイトのテーマ(前奏部分)」と合成させることでようやく曲の完成に至ります。テーマ曲ファンの中ではこれらを集めてカブキのテーマを作ろうとした方もおられるでしょうね。絶妙のタイミングを要求される作業ですが、それだけに完成させることができた時の喜びもひとしおでしょう。

私の知人で雅楽を職業とする父親のコネクションで、望月左吉氏本人にこのレコードの所有を確認した人がいますが、氏本人も持っていないとのことでした。
レコードの内袋には「学校をよくするための助成運動に協力しましょう」と記されており、何らかの教育用レコードであったことが伺えます。それゆえ、市場に出回った数も極端に少なく、今となっては非常に貴重な資料となってしまったのが残念に思います。

次に『J』について。
この曲は、1984年に当時のプロレス中継担当スタッフから依頼を受けたプレイヤーズの鈴木宏昌氏が作曲、録音したもので、ニューテーマとして試験的にTV中継で使用されたものが始まりです。ジャンボ鶴田選手自身もそのメロディを大変気に入り、全国のテーマ曲ファンの要望もあって同年6月21日にバップレコードから発売の「メイン・エヴェント」に収録されました。ところがこのLPに収録されたものは、最初に製作された、いわゆる「"プロトタイプ"J」を演奏し直したカバーヴァージョンだったのです。その後、LP「プロレス大全集」にも、メイン・エヴェント版に多少のエコーと効果音を加えて若干勇壮な仕上げになったものが収録されています。

そしていつしか、カバー版の「J」がジャンボ鶴田選手のテーマ曲として定着したため、これも本物ということでなりましたが、やはりテーマ曲ファンにとってはあの、「プロトタイプJ」のキレのいい演奏が忘れなられないことだと思います。ジャンボ鶴田選手が病気でスポット参戦するようになった後は、団体のプロレステーマ曲担当者も個人的にこのタイプが好きなこともあり、再び頻繁に使用されるようになりました。現在、全日本プロレス、日本テレビ、バップレコードでもこの「プロトタイプJ」のマスターテープは存在しません。何度かダビングを繰り返されたテープのみあることが確認されています。まさに謎の多い"幻のテーマ曲"と言えるでしょう。

今後プロレスQシリーズのスタッフの方々に望むべくは、このままの勢いでCBSソニー版「ローリングドリーマー(メロオケ)」や「テレビ朝日スポーツテーマ・朝日に栄光あれ」「日本テレビスポーツテーマ」等の未レコード化音源の発見、発売を全国のテーマ曲ファンのためにも切に望むものであります。


衝撃事実!? 全日版「移民の歌」は2年前に再発売されていた!
1999/12/20

去る12月3日、ついに全日版「移民の歌」が「プロレスQ4 EVER」に収録され発売されました。「移民の歌」はテーマ曲ファンにとっては待ち望んだ幻の曲であり、今回が初CD化です。私にとっても、とうとうこの日が来たか、と感慨深い思いです。しかし、実は「移民の歌」は今から2年間前、1997年にLPレコード限定販売として再発売されていたのです。

企画・販売を担当したのは(株)ブルース・インターアクションズというレコード会社でテイチク(株)からマスターテープを借りてクラブ音楽のコンピレーションアルバムに石松元の名前で「移民の歌」は復活していたのです。企画・販売会社に問い合わせたところ、”あい・さとう”、”フミ・ヤマウチ”という両ミュージシャンが昭和のグループサウンズの中から現在のクラブで使える曲を選曲した企画盤であるとのこと。ただ残念なことに現在、在庫切れの状態のようです。

このレコードの裏には、あのオリジナル盤「トップドラマーベスト5」のジャケット写真が掲載されています。さて、前置きが長くなってしまいましたが、このレコードのタイトルは『グルーヴサウンズインニッポン(テイチク編)/シェイキン・マイ・ソウル』(PLP-7605)で価格は\3,000です。

全国の中古レコード店やインディーズ物を扱うお店では案外在庫があったりすると思いますが、さらに驚くべきは、このLPに収録されているバージョンは通常、レコード発売している(プロレスQ4含む)バージョンとは違って、若干長いバージョンなのです。

通常「移民の歌」は2分47秒でフェードアウトする形を取っていますが、このロングバージョンは数秒長く、演奏を中止する形で収録されている、言わば「マスターテープバージョン」と言える物です。テイチクに眠るマスターテープをそのままアナログLPに収めたという意味において資料として大変重要に思えます。興味のある方は、是非探してみてください。今なら、どこかにまだあると思います。音楽的には全く同じでブロディの曲に間違いありませんが、コレクターには必聴の価値ありですヨ!!


悶絶プロレス秘宝館 Vol.2シンコー・ミュージックMOOK
(在庫があやしい...)
村田さんのコレクションはこちらの書籍で多数紹介されています。
テーマ曲ファンは、是非ご一読ください。